細野朝士の万華鏡よもやま話

ときどき書きます

万華鏡よもやま話 その3

幾何学模様を綺麗に作るために その2

分かりやすく2ミラーで考えてみます。
ホールケーキを10等分したところを想像して下さい。
 
一番手前のケーキは貴方の分ですので、手前に引いて下さい。
それが、通常の5ポイントのミラーの組み方です。
角度、36.72.72の二等辺三角形となります。

その内、ナイフを入れた、長さの等しい二辺がミラーで、
底辺は、反射しない素材とします。

そうすると、36度の頂点を中心にホールケーキのような模様ができるのです。
どこから見たらホールケーキは丸く見えるでしょうか?

中心から、つまり36度の頂点から見ると一番良い訳ですが、そこから覗くことはできません。
実際は、その頂点に近い狭い部分から覗くと、円に近い模様になります。
底辺の方から覗くと、覗きやすくはなりますが、より斜めから覗く事になり円は歪みます。

逆テーパードに組むことにより、歪みは補正可能ですが、ミラーとオブジェクトの距離からくるズレの補正についてはそこまで期待出来ません。
ですから、実際の距離を縮める事が大切になり、
それでも気になるようならば、ミラー組を長くすると良いです。
しかし、そうすると遠近法により映像が小さくなりますので、ケーキを大きくします。
ケーキは大きい程良いかというと、個人差ですが、覗いた時に全体像が見えた方が落ち着いて見えるように思います。

レンズの使い方にも工夫があります。
どの部分をどのような向きで使うかによって、ズレの補正、映像の正面性が変わってきます。

私が万華鏡を作る際、優先してしまうのが、効率と図案の正確性。どちらかというと効率が優位にありましたので、効率の良い作り方の中で、どう正確に作るかという事で答えを出していました。
佐藤さんは、効率は考えずに答えを持っていました。

二人は正反対の答えを持っていて、確かに私の作り方では、自分の答えの方が正しいように感じていました。

しかし、このところ私は、一手間加える形で、佐藤さんの答えをコッソリ取り入れて作るようになっています。

作り方を変えた一番の要因は、撮影が断然にしやすいからです。最近の動画撮影の習慣が、作り方を変える決め手になっていたりします。

一度それがより良いと判断したら、後戻りはなかなか出来ません。

このようにして、万華鏡は微調整を繰り返し、良くなっていきます。

今回のゲストとの二人展も、意義ある出逢いになればと願っています。

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