細野朝士の万華鏡よもやま話

ときどき書きます

万華鏡よもやま話 その9

前回では、オブジェクトが多過ぎると良くないような事を書きましたが、要は適量があるように思います。


ドライタイプであれば、分かりやすく下に溜まって、ミラーの手前に丁度オブジェクトが来るように。

ミラーよりも上に積もってるのは、光を遮ってあまり良い働きをしないのかも。

あまり沢山入れると、動きも悪くなりますし。


こだわる方は、奥行き2ミリ程度のオブジェクトケースに、繊細なオブジェクトを重ならないように計算して作られるようですよ。

きっと、オブジェクトの配置によっても変わるのでしょう。悩みに悩んで一つのオブジェクトケースに一日以上試行錯誤を繰り返す事もあるとか。

マジかー


では、オイルタイプはどの程度入れましょう?

万華鏡通は知っているでしょう、覗いだ時には真っ暗、そのままじっとしていると、ゆーっくり現れて、詩か、歌だかを奏でてまた消えてゆく、途中でゆっくり回してもよし、消えてから、180度回転させるもよし。

一つの物語のように展開される万華鏡。

多くの作家さんが参考にしているのか、近い感覚の作品が増えたなぁと思います。


しかし、同じようにはいかないですね。


オブジェクトの形状から落ちる速度をある程度計算されて、あの大きさの万華鏡がその作家さんの答えだったようですね。


作り手が変われば、理想も変わるだけなのかもしれませんが…


いずれにせよ、明確な狙いがある万華鏡は、清々しいものです。


バランス感覚で作られる方もいるでしょう。

その中にも、何となくバランス良くできてるなというものから、絶妙なバランスで構成されるものまであるように思うのです。


そういった、違いを楽しまれるお客様が、作家を育て、万華鏡の価値を押し上げる事もあると思います。


そのためにも、まず作家がしっかりとした狙いを持って作ることが大切ですし、それがモチベーションにも繋がるのではないでしょうか。


とある思想家だったでしょうか

「私は、楽しいという思いだけで作られた万華鏡は信じない。」

真顔でそう仰ってましたね。


ちょっと何言ってるかよく分からない名言です。


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