細野朝士の万華鏡よもやま話

ときどき書きます

万華鏡よもやま話 その18

f:id:ochiyama:20200604203534j:plain

今日は休廊日なので、展示会中に考えた事を書いてみます。


この業界には、いま幾つかの方向性があると思います。


一つは、万華鏡の地位向上を目指して、芸術として認められるべく、美術館などでの展開を探る動き。確かに大型で御婦人を虜にするような万華鏡もありますし、話題作りにもなりやすい方向性のような気もします。

難を言えば、現状でそれが生活に直結するような作家さんはごく一部で、その他の方は美術館に展示されたという実績作りに留まるのかな?と想像します。

長い目で見た時に、地位向上とともに、大きな流れが出来ればというところだと思います。


もう一つは、生活に直結する動き。

作家もショップも当然続けていかねばなりませんから、とても大切な視点でもあります。

イベントやネットショップなど何でも駆使して、とにかく万華鏡を宣伝して売る事。

売れれば、買って下さった方の周辺の方も万華鏡に触れる機会ができて、勝手に宣伝してくれる。

難を言えば、今売れればいいという発想、売りやすい物を扱うという方向になりがちです。そうなると万華鏡そのものよりも、宣伝しやすい物、キャッチャーな物を扱うようになり、そのような万華鏡が広く宣伝され、万華鏡のイメージを作り上げていきます。


私個人は、この二つの流れをどこか冷めた目で見ていて、普通に作家は日々精進し、普通に評価されるべき万華鏡が評価されればいいだけではないかな?と考えています。

作家それぞれが、必要な活動を見極めて、時には作家同士連携して、作家だけでもイベントが成り立つくらいの力をつけ、自分のスタンスを確立した上で、専門店と関わる。

専門店では、評価されるべき万華鏡が並び、さらなる向上のため、万華鏡愛に溢れた店長さんが厳しくも適切なアドバイスをしてくれる。

同じく万華鏡愛に溢れたお客様が集う。


それが業界が永く続いていくための定石ではないかと考えています。