細野朝士の万華鏡よもやま話

ときどき書きます

万華鏡の評価の仕方について

まず分かりやすいところで、ミラー組の正確さがあります。

完全に完璧なミラー組は無いのですが、いかにそこに近づけられるか?という事です。

角度のズレや、隙間、ゴミやホコリ、歪みなど、そのスコープでどれだけ目立ってしまうのかを評価しています。


実際には、この点で通常価格にしてしまっているケースは少なくありません。


しかし通常、お客様が見て気になる程のケースは少ないのかもしれません。

誰よりも厳しい目を持って、評価しなければいけないという気持ちの表れと言ってもいいと思います。


万華鏡の中で、唯一普遍的な正解があるミラー組は、作家として常に考え続けるテーマですし、常に最善を目指しステップアップしなければならない技術だと思います。


次に分かりやすいのは、オブジェクトの動きかと思います。


ドライタイプでは、完全な幾何学模様に拘り過ぎて、ケースを浅くし過ぎ、動きに難が出るケースがあります。

また、オイルタイプでは、偏光で使う素材は軽いので液体の中で浮いてしまうことになります。

粘度を低くすればある程度解決ではあるのですが、動きがセワしくなってしまって、偏光の面白さが十分伝わりませんし、セワしい万華鏡は好みでは無いので、粘度を上げる訳ですが、そうなると動きが物足りないものになったり、ケース内でくっ付いて動かなくなってしまったりという問題が起こりやすいです。

簡単な事のようですが、未だ答えを見付けられずにおります。


あとは、何とも伝わりづらい、出来る模様や、その色、その変化、バランスなど、感覚的な要素です。

狙っているモノに対して、それ以上の成果があると評価が上がり、次はそれを目指してみるという繰り返しの作業をしています。


分かりやすい部分としては、変化の幅がありますが、それが大きければそれで良いという訳でもなく、指標の一つという感じです。

実際は、幅そのものよりも、意外性を重要視します。期待に対してそれを上回る、または裏切られる。

そんな場面が多ければ、評価は上がります。


色んなカラフルな色の出るスコープを作るのは、割と難しい事ではありますが、その仕組みは自分なりに確立しつつあります。

それはそれで、大変面白いスコープですし、現状、私にしかできないモノなのかもしれません。

しかし、自分としては慣れてきつつあるようにも感じています。

変化に対しての驚きもまだまだあるのですが、色そのもの、模様そのものに対する驚きや感動は薄れてきているようで、カラフルさや変化の多様性を多少犠牲にしても、魅力的な色、模様を作りたいとも考えています。

例えば、幾つかの要素が互いに打ち消し合うような、不調和音的な要素、またはハレーション?ハウリング的な通常喜ばれないような効果も面白いと考えつつあります。

そのように、変化していくであろう、その時々の狙いに対して、感覚的に評価している部分も大きく、その点は決して普遍的なモノでは無いだろうと考えています。