細野朝士の万華鏡よもやま話

ときどき書きます

万華鏡って?

個展会場となっているyauの店員さんから、万華鏡は何故模様を作るのか?と言ったような根本的な質問をされました。

 

実体験として当たり前に万華鏡を作っている作家からしたら、当たり前過ぎて割と難しい。

 

会場にある鏡を使って説明してみますが、2ミラーを斜めから見れば像を作る事は分かりました。でも、正面から見て何故正面の像が映り込むのでしょう?

 

成程、こういった素朴な疑問を問われることはありませんでした。それをキチンと疑問として質問出来るのも能力だと思います。

 

その場では、それが万華鏡なんですよー的に誤魔化してしまったように思いまして、もっと分かりやすく書いてみようと思います。

 

この問題は、視点がどこにあるのか?という意識と、遠近法の正しい理解が必要なのかもしれません。

 

例えば、四角い部屋にいて、角を見れば二つの壁が見えるのは分かる。でも壁を正面から見ると、何故平行な筈の二面も同時に見えて合計三つの壁が見えるのか?といった疑問に似ています。

 

交わらない筈の平行線でも交わっていくように見える不思議。

 

こういうのって視点の置き方で、見え方って変わるよね?っていう話なんだと思います。

 

学生の頃、遠近法の学習で、近くの物は大きく、遠くの物は小さく見えるよね。だから立体を描く場合は常に遠近法を意識しなきゃならんのだよ。

さて、箱を真正面から見て描いたらどうなる?

そんな質問がありました。

 

答えは、正面の面に隠れてしまって、四角を描くだけ。厳密には少しふくよかに描くのかもしれませんが……

 

そんなのに似ています。

じゃ今度はトンネルを考えて下さい。

遠くから見ると、トンネルの中って殆ど見えなくて、山に穴が空いた入り口が見える。

 

でも、中に入ったらトンネルの内側が見えて、トンネルの先の風景も見えたりします。

それは分かる。

 

でも、トンネルの入口から見たらどうなるの?

 

入口から見るのと、中に入って見るのはどう違う?

中に入って前向けば、自分の後ろって見えないでしょ?

それって入口にいるのと何が違うの?

同じだよね?横や後ろが無いだけで。

 

そんなトンネルの話と、昔、志村けんがやってた、鏡に半分隠れて変顔作ったり、宙に浮いてるように見せる鏡芸。

これを掛け合わせれば、何とか万華鏡の謎が解けるのではないか?と思うのですが。