細野朝士の万華鏡よもやま話

ときどき書きます

思い出

ふと昔の事を思い出しました。

 

幼少の頃の私の愛読書はタキイの種のカタログでした。

 

実家が建てられたのは五十年ほど前、私が保育園に通っていた頃。畑を整地した敷地には何もありませんでした。両親は夢を描いて、木々や花、野菜を植えて、庭にしていったのでしょう。

 

両親は今思うと、珍しい物好きだったようで、近所の人が知らないような花や野菜を育てていたように思います。

 

今では当たり前の芽キャベツなど、当時当たり前に味噌汁に入ってました。

今やお馴染みの空芯菜は、当時エンツァイと言っていましたし、サニーレタスはチシアでした。

 

それらは季節毎に送られてくるタキイの種のカタログから選んでいたのでしょう。

次はどの種を買うか?なんて熱心に一緒に見ていたのは私だけだったかも。

 

中には盆栽になるような木の種もあって、私は五葉松の種をいつも買うか迷っていました。

発芽まで二年とかそんな説明があったように記憶しています。

二年なんて途方もなく長い年月はとても待てない。そんな気持ちが思い止まらせていました。

 

小学校の児童会長選に立候補した時、趣味の欄に盆栽と書いた記憶があります。

実際に育てていた訳では無いのですが、盆栽の本を見るのが好きだったのです。

花も好きで、春蘭という薄緑のシンプルで可憐な花が世界で一番綺麗だと信じていました。

今思うと、カタログに高額で載っていて、影響されたのかも知れませんが、今でも大好きな花です。

 

ある日親父に、花が好きだねぇ?と聞いた事があります。

親父は少し考えて、花が好きな自分を少し恥ずかしいと思ったのかもしれません。

照れくさそうに、花が嫌いな人なんていないだろう?と答えました。

 

私が万華鏡作家になるキッカケは、その辺の記憶も多分に影響しているように思いました。

 

だって万華鏡を嫌いな人なんていないでしょう?